
ウェブマーケティングの成功には、検索エンジン最大手であるGoogleのアップデートに対する理解が不可欠です。
今回は、その中でも特に重要な「Googleコアアップデート」に焦点を当て、その基本と対策方法についてご紹介します。
ウェブマーケティング初心者の方、部署異動などでコンテンツ制作を担当することとなった方はぜひチェックしてみてください!

目次
Google コアアップデートとは?
Googleは、検索エンジンのアルゴリズムを定期的にアップデートしています。
複数あるアップデートのなかでも「コアアップデート」は、検索エンジンのアルゴリズムを大規模に変更することをいいます。
直近では「October 2023 core update」という名称で、日本時間の10月6日〜10月20日に展開が終了しています。

10月の一つ前のアップデートは、2023年8月23日〜9月7日に展開が完了した「Released the August 2023 core update」といいます。

コアアップデートが行われると、ウェブサイトのトラフィックや表示順位に大きな影響を及ぼすことがあります。
コアアップデートの目的
コアアップデートが定期的に実施される理由は、検索エンジンのアルゴリズムを改善し、ユーザーにより適切で質の高いコンテンツを提供するためです。
サイトの所有者やコンテンツ制作者にとって、コアアップデートは適切なSEO戦略を実施することが求められます。
対策を講じることで、検索結果の順位を維持または向上させられる可能性があります。
検索順位の確認方法については後述します。
コアアップデートは年間どのくらい実施される?
コアアップデートは年間数回実施されますが、具体的な回数やスケジュールは公表されていません。
今までの統計上、年間の平均回数は2〜4回程度であると考えられます。
- 2019年:3回(3月12日、6月4日、9月24日)
- 2020年:3回(1月14日、5月5日、12月4日)
- 2021年:3回(6月3日、7月2日、11月18日)
- 2022年:2回(5月26日、9月13日)
- 2023年:2回(3月15日、8月23日、10月6日)※2023年10月現在
コアアップデートの影響とは?
コアアップデートがウェブサイトに与える影響は、以下のようなものがあります。
1. 検索順位の変動
コアアップデートによって、ウェブサイトの検索順位が変動することがあります。
高かった順位が低下する可能性もあれば、逆に向上することもあります。
特に競争の激しいキーワードに関連するサイトに大きな影響を及ぼすことがあります。
2. トラフィックの変動
検索順位の変動に伴い、ウェブサイトへのトラフィック(サイトを訪れるユーザーの数や訪問回数を指す指標)にも変動が生じます。
順位が上がればトラフィックが増加し、順位が下がればトラフィックが減少する可能性があります。
トラフィックが変動すると、ウェブサイトの収益やコンバージョンにも影響を及ぼすことがあるでしょう。
3. コンテンツ評価の変化
Googleはコアアップデートを通じて、コンテンツの品質を評価し直すことがあります。アップデートによって順位が変動するのは、このためです。
品質の高いコンテンツを提供することが重要となります。
ランキングにはどのような点が評価される?
先述の通り、検索エンジンのアルゴリズム内で複雑な計算や評価が行われ検索順位が決まります。
ただし、Googleのアルゴリズムは非常に複雑で詳細な内部の動作は公開されていません。そのため、配慮する点が多いのです。
具体的なものは、以下のような例があります。
- コンテンツの質
- 適切なキーワードの使用
- 被リンクの質
- ウェブサイトの読み込み速度
- モバイルフレンドリーであるか
- セキュリティ面
- ユーザーエクスペリエンス
それぞれを簡単にご紹介します。
1.コンテンツの質
ウェブサイトのコンテンツが、ユーザにとっていかに有用であるかが評価されます。
この有用な情報には、正確性や文章の読みやすさも含まれ、誤った情報やスパム的なコンテンツは、検索順位に悪影響を与える可能性があります。
さらに、Googleはコピーコンテンツを嫌います。
そのため、オリジナルで作成された専門性の高い独自のコンテンツが評価され、他のウェブサイトからコピーされた内容は順位が低下する可能性があります。
同業他社が存在し、似たような記事を投稿することもあるでしょう。
その場合は、ユーザーにとってわかりやすく、ひと目見ただけで内容を理解できるような画像を作成し掲載することもお勧めです。
2.適切なキーワードが使用されているか
キーワードは、ウェブサイトやページの中で特定の言葉やフレーズを強調するために使われる重要な言葉です。
例えば、本記事であれば「コアアップデート」に関する情報を提供しているため「コアアップデート」がキーワードとなります。
キーワードを適切に使用するには、自然に文章に溶け込んでいるか、キーワードを使用し過ぎていないかもポイントです。
3.被リンクの質
高品質な被リンクは、ウェブサイトにとって非常に重要な役割を果たし、権威性も高めます。
一方で、低品質な被リンクは逆効果となります。スパムサイトやリンクファームからの被リンクは、Googleからペナルティを受ける可能性もあります。
全く関係のないサイトからの被リンクも悪影響を及ぼす可能性があります。
4.ウェブサイトの読み込み速度
ウェブサイトの読み込み速度は重要なランキング要素です。
読み込み速度の遅いページは、ユーザーエクスペリエンス(ユーザーの使いやすさ)を損ない、ランキングを下げる可能性があります。

優れたユーザー エクスペリエンスを提供するには、Largest Contentful Paint を 2.5 秒以下にする必要があります。
Largest Contentful Paint(LCP)|web.dev
上記にもある通り、読み込み速度は可能な限り速いに越したことはありませんが、2.5秒以下に留めたいところです。
読み込み速度が遅くなるほどサイトの離脱率も上がります。
対策方法としては、ウェブサイトの速度向上には画像の最適化、キャッシュの使用、CSSおよびJavaScriptの最適化など、特定のテクニカルなアプローチが挙げられます。
5.モバイルフレンドリーであるか
ウェブサイトが、モバイルフレンドリーであるかどうかも重要な要因となります。
気になるお店や病院などを検索した際にスマホに対応していないサイトでは、操作性も下がり良い印象を受けない方も多いはず。
モバイルフレンドリーの向上には、レスポンシブデザインの採用、モバイルナビゲーションの最適化、タップのしやすさなどを改善しましょう。
6.セキュリティ面
「セキュリティは Google の最優先事項です」「Google はランキング シグナルとして HTTPS を使用することにしました」
ランキング シグナルとしての HTTPS|Google 検索セントラル ブログ
とあるように、Googleではデータを暗号化するSSL化を推奨しています。
以下の画像のように、SSL化されたサイトは南京錠マークが表示され、URLをクリックすると「https://〜」と記載されています。
また、SSL化されていないサイトは「保護されていない通信」と表示され、URLをクリックすると「http://〜」と表示されます。SSL化されていないサイトには、Googleから警告が表示されるようになっています。

SSL化によりデータが送信される際に暗号化されることから、第三者がデータを傍受しにくくプライバシーを保護します。
特にクレジットカード情報やパスワードなどの機密情報の送信時などに重要な役割を果たします。
SEO云々の前に顧客情報を保護するためにも導入すべきですが、SEO対策をされるならGoogleも推奨しているので設置しましょう。
7.ユーザーエクスペリエンス(UX)
ウェブサイトにおけるユーザーエクスペリエンスとは、簡単に言うと、ユーザーがウェブサイトを訪れて感じる全体的な満足度(感情)を指します。
ユーザーエクスペリエンスは、以下のようなものがあります。
- ウェブサイトのデザイン
- ウェブサイト内の機能
- パフォーマンス
- 使いやすさ
- 視覚的なデザインなどの要素
- コンテンツの品質
- アクセシビリティなど
先述した「ページの読み込み速度が速いか」「ページ自体が使いやすいか」も、UXに含まれます。
上記はランキングの決定要素の一部ですが、SEO対策を考慮するのであれば最低限押さえておきたいものです。
重ねて、Googleはユーザーファーストですのでユーザーのニーズに合った情報を提供し続けることが非常に重要です。
コアアップデートのメリットとデメリットは?
コアアップデートには、メリットとデメリットの両方があり、簡潔にまとめると以下のような点があります。
メリット
- Googleの検索エンジンの品質が向上するため、ユーザーが検索した際により良い検索結果が表示される
- ウェブサイトの品質が向上するため、コンテンツの質が高くなり、ユーザーにとって有益な情報を提供することができる
- ウェブサイトのランキングが上昇ことに伴い、アクセス数が増える可能性がある
- 不正なSEO手法が排除される
デメリット
- ウェブサイトのランキングが低下し、アクセス数が減少する可能性がある
- アップデートの影響を事前に予測することが困難であるため対策をするのが難しい
- サイト所有者などのコンテンツ提供者が対応を怠ると、ランキングが低下する可能性もある
サイトの所有者にとっては、ランキングの低下やアクセス数の減少などのリスクもあり、アップデート後のランキングが安定するまで不安が付きまといます。
コアアップデートによって、検索エンジンの品質が向上し、ユーザーにとってはより良い検索結果を得ることができたりとメリットが大きいのも事実です。
コアアップデートで順位が下がったらどうしたらいい?
ユーザーにとってのメリットも大きい反面、コアアップデートで順位が下がってしまう場合もあります。
コアアップデートによってウェブサイトの順位が下がった場合、適切な対策を取ることが重要です。順位が下がった場合の一般的な対策方法は以下の通りです。
1.モニタリングする
Googleのコアアップデートは、ウェブサイトの順位に影響を与えることがありますが、アップデートは開始から完了まで2週間程度時間を要する場合があります。
また、順位が下がっても回復することも多いため、少しモニタリングしましょう。
2.データの分析(影響を受けたページを特定)
アップデートによる影響を把握するために、ウェブサイトのデータを分析しましょう。
Google Search Consoleや外部のSEOツールを使用することで、トラフィックの変動、キーワードのランキング変動、クリック数などが調査できます。
データ分析を通じてどのページが影響を受けたのかを確認し、特定のキーワードに関連するページを注視します。
3.コンテンツの品質を確認
影響を受けたページのコンテンツを評価し、品質改善の余地があるかを確認します。
リライトをしばらく行っていない、コンテンツが古く情報が不正確である、競合サイトと比べてコンテンツの質が低い場合は改善が必要です。
また、コンテンツの品質を高めることで良質な被リンクの獲得も期待でき、これらは総じてドメインパワーを強くすることにも繋がります。
4.インデクサビリティの向上
ウェブサイトのユーザーエクスペリエンスを向上させるために、先述したページの読み込み速度などの改善を検討しましょう。
テクニカルSEO面では、クロール対策、インデックス最適化などを確認し、問題を修正します。
Googleのアルゴリズムは変動するため、効果的な対策は時間がかかることがあります。焦らずに慎重に対策を進めるようにしましょう。
仮に、アップデートが実施されていないのに順位がガクッと低下した場合は、Googleからペナルティを受けている可能性があります(過度にキーワードを詰め込んだり不正規な方法でリンクを獲得するなど)。
Google では、自動システムと、必要に応じて行われる人間による審査によって、ポリシーに違反しているコンテンツおよび動作の両方を検出しています。場合によっては、手動による対策を実施します。Google のポリシーに違反しているサイトは、検索結果での掲載順位が下がったり、まったく表示されなかったりすることがあります。
Google ウェブ検索のスパムに関するポリシー| Google 検索セントラル
リンクの否認方法については、こちらをご覧ください。
コアアップデートで順位が下がったどうかを確認する方法
コアアップデートで順位が下がったか確認するには、Google Search Consoleや外部SEOツールを使用するなどの方法があります。
より正確な情報を得るためには、Google Search Consoleの利用を推奨します。
Google Search Consoleでの確認方法
- GoogleアカウントでGoogle Search Consoleにログインし、コアアップデートの影響を確認したいウェブサイトの対象のプロパティ(ドメインまたはサブディレクトリ)を選択します。
- 左側のメニューから「検索パフォーマンス」の「検索結果」を選択します。
- 「平均掲載順位」にチェックを入れます。
- 「日付:過去3か月間」をコアアップデートの影響を確認したい期間(アップデートの前後)などに変更します。

特定のクエリやページの詳細を知りたい時は以下を選択します。

その後、クリック数や表示回数、掲載順位での昇順降順をチェックすることもできます。ご自身の知りたい用途に合わせてご選択ください。

では、以下のページを例にデータを分析してみましょう(アップデートが実施された期間にアイコンなどを入れ加工しています)。

- 【8月23日(水)】アップデート当日(以下は8月のアップデート日からの変動値)
- 【8月30日(水)】アップデート展開終了日…表示回数:+2.4%、掲載順位:-0.6
- 【9月7日(水)】アップデート終了から一週間後…表示回数:+12%、掲載順位:+0.2
- 【10月6日(金)】アップデート当日(以下は10月のアップデート日からの変動値)
- 【10月20日(金)】アップデート展開終了日…表示回数+9%、掲載順位:±0
- 【10月27日(金)】アップデート終了から一週間後…表示回数+30%、掲載順位:-0.1
各アップデートの詳細値は以上のようになりました。
- 10月27日時点で8月のアップデートから表示回数は+17%、掲載順位は-0.7
- 10月31日現在、8月のアップデートから表示回数は-2.5%、掲載順位は+0.3
10月のアップデート中、一度順位が下がりましたが立て直しています。
結果、8月のアップデートも10月のアップデートも掲載順位はほぼ横ばいで変動は少なく、当ページはさほど影響を受けていないということがわかります。
冒頭にも記載した通り、Googleのコアップデートは3〜4カ月ごとに実施されるため、10月のアプデートは2021年以来のイレギュラーなものでした。
X(旧Twitter)を見ていると、掲載順位が半分以下になられた方や圏外になってしまった方も多いことから、今回のアップデートは大規模に変更されたことが伺えます。
その他の確認方法
その他の確認方法としては、外部SEOツールで調べる方法です。有名なSEOツールにはAhrefs、Semrushなどがあります。
これらのツールを使用して、ページごとのトラフィックとキーワードランキングの変化をモニタリングできます。
外部SEOツールを利用することによって、競合他社の変動も確認できます。
しかし、これらのツールは有料であるため、予算に余裕がある場合に推奨します。
まとめ
今回は、コアアップデートの概要や順位に影響があった際の対策方法についてご紹介しました。
アップデート後は傾向を掴むまで少々時間を要します。一度様子を見て改善されない場合は問題点を探ることが重要です。
「何をしたら良いのかわからない」「どのような問題点があるかわからない」「サイトへのアクセス数に伸び悩んでいる」という方は、ぜひ一度弊社までご相談ください。
